比率の差、リスク比、オッズ比

Risk difference,Risk ratio, Odds ratio


1)母比率の差(Risk difference)
治療法
死亡
生存
A
30
38
コントロール
43
24

検定では、χ2検定またはFisher検定が用いられる(P=0.02)。

推定では有効率の差について、点推定と区間推定を求める。
この比率の差は,
リスク差(risk difference)とか寄与リスク(attributable risk)と呼ばれる。

生存率はコントロールが44%、A群が64%なので
点推定(最もありそうな値)は、 64 - 44=20%
95%信頼区間 4% 〜 36%
この場合、
95%信頼区間が0をまたがなければ、P<0.05で有意差があることと同じ意味になる。
推定では、差の程度が具体的に理解できる点で検定より優れているといえるかもしれない。

χ2検定のP値は、症例数によって変化してくる。症例数が増加すれば、有意になることが多いが、それが臨床的に有意であるかどうかが問題である。臨床的に有意かどうかは、どの程度の差を有意と考えるかで決まる。もし20%と考えた場合、統計学的に有意であっても、95%CIが20%以下であれば臨床的には有効とは考えられない。逆に統計学的に有意でなくても、点推定が20%以上で95%CIが20%を含んでいれば、症例数を増やせば有意になる可能性があり、臨床的にも有効な可能性を含んでいる。
区間推定の求め方はこちら


2) リスク比とオッズ比の信頼区間
疾患
非疾患
合計
P群
A
B
A+B
S群
C
D
C+D

Relative risk(相対危険度)またはRisk ratio(リスク比)は

(A/(A+B))/(C(C+D)で求められる。  これは、S群のリスクを1とした場合のP群のリスクの比である。
2x2表にデータを入力する場合には、行と列のどこに入れるかを意識する必要がある。 χ二乗検定やFisher検定だけであれば、行と列を意識しなくてもよいが、リスク比を求める場合には結果が異なってくるので注意が必要。リスク比は自分で簡単に計算できるので確認する。 通常2行目に比較する元になるもの、1列目は結果が生じる方のものが来るようにするが、統計ソフトがそのように計算しているか確認する。


また、Odds比は

 (A/B)/(C/D)

95%信頼区間の計算は、ちょっと難しい。統計ソフトを使用した方がよい。


非常に稀な疾患の場合には、相対危険度とオッズ比はほぼ等しくなる

なお、リスク比 はコホートスタディでは計算できるが、ケースコントロールに使用してはいけない。
ケースコントロールスタディでは、オッズ比を使用する。コホートスタディや横断研究でもオッズ比を用いことはある。発生率が低い場合、オッズ比はリスク比に近くなるが、発生率が大きいと影響が大きい。ただし、コホートスタディでもロジスティック回帰ではオッズ比を用いる。
ある母集団のサンプルでコホートスタディを行った場合のリスク比と、結果からみたケースコントロールスタディから求めたリスク比は異なってくるが、オッズ比は同じになる。そして、発生率が低ければオッズ比はリスク比に近くなるので代用される。
2x2表の分析では、χ二乗検定やFisher検定が使われ、リスク比やオッズ比まで記載されていることは少ない。特に小数例の検討では、リスク比は記載されていないように思われる。
ただ、χ二乗検定は、帰無仮説が「2群の間の発生率に差はない」であり、リスク比が同じかどうかを調べているのでやっていることは同じであるが、リスク比だと違いの程度がわかるという点で使用する価値は十分にあると思われる。


リスク比およびオッズ比は因果関係を調べる場合に有用であり、リスク差は薬物の有効率の差をみるような場合に有用となる。

*1 ケースコントロールスタディ :ある時点で、疾患のあった者と疾患のなかった者(対照)を何例か選び、危険因子について比較する方法。たとえば、乳幼児突然死症候群で死亡した50例と対照100例について人工栄養が危険因子となりうるか検討するような場合。 ある危険因子について、疾患の発生率を調べるには危険因子のある群とない群を追跡しないとリスクは計算できないので、疾患のある群とない群を集めてきてもリスクとリスク比を求めることはできない。

*2 コホートスタディ::ある時点から危険因子のある群とない群についてフォローし、目的の疾患の原因となるかどうか検討する場合のようなスタディである。あまり稀な発生率の疾患では、対象が多すぎて困難なことがある。コホートスタディでは、それぞれの群について疾患の発生率が計算できるのでリスクの計算ができる。さらに、そこからリスク比も求めることができる。
カルテを後方視的に調査し、リスクのあるなしの2群に分けて、疾患の発生率を調べることが可能なこともあるなので、後方視的研究でもコホートスタディは可能
である。

*3 横断研究::ある時点においてまず、対象を選択し、その対象について危険因子のある群とない群で、疾患の発生率について検討する場合。
例えば、ある地域で1年間に出生した児全例について乳幼児突然死症候群で死亡した群とそれ以外について危険因子について検討する場合。

このあたりのことは、新谷歩先生の「みんなの医療統計12日間で基礎理論とEZRを完全マスター」が参考になります。

3)リスク比とリスク差

ある薬物の副作用のリスク比が0.5に減らせた場合、50%の発生率減少であり非常に有用かと思われるが、もともとの発生率が0.2%だったとすると、たかだか0.1%の発生率が減少しただけで実際あまり意味がないことになる。このようにリスク比では、もともとの発生率がどの程度かが重要な情報となる。この場合には、リスク差0.1%で表した方が誤解を招かない。

以上のように、2x2分割表のまとめ方として比率の差、リスク比、オッズ比がありそれぞれに95%信頼区間が求められる。それぞれの使い方をまちがえないように。
また、2x2分割表の検定としてはχ2検定があり、それは別項で述べる。

2つの比率やリスク比、オッズ比の95%信頼区間の計算は、InStatなどで計算できる。